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網膜中心静脈閉塞症Central retinal vein occlusion (CRVO)
網膜中心の静脈(静脈の根本の部分)が詰まる疾患です。この疾患は主に60歳以上の高齢者に見られ、有病率は0.1%から0.4%とされています。血液の循環が障害されることで、眼底出血が網膜全体に広がります。
網膜分枝静脈閉塞症 branch retinal vein occlusion(BRVO)
網膜分枝静脈閉塞症(BRVO)は、網膜静脈の分枝部分が閉塞する病状であり、通常は網膜動脈と静脈が交差する地点で発生します。この疾患は男女を問わず影響を及ぼし、特に60歳から70歳の年齢層で多く見られます。BRVOの主なリスク要因には、高血圧、糖尿病、高脂血症、緑内障、喫煙、加齢に伴う動脈硬化が含まれます。また、抗リン脂質抗体の存在や眼軸長が短いことも、BRVOのリスクを高める要因とされています。
網膜中心静脈閉塞症(CRVO)および網膜分枝静脈閉塞症(BRVO)では、虚血が原因で黄斑部(網膜の中心であり、視力にとって最も重要な部分)に浮腫が生じると、視力の低下、視野の欠損、歪み、かすみなどの症状が現れます。また、虚血により網膜新生血管や硝子体出血が引き起こされることもあります。特に虚血型網膜中心静脈閉塞症(CRVO)では、虚血が前眼部にまで及ぶと、非常に危険な合併症である血管新生緑内障を引き起こし、失明のリスクが高まることがあります。
治療:
レーザー治療:
レーザー治療は、網膜新生血管、硝子体出血、血管新生緑内障の発症を抑制し、病状の進行を防ぎ、現状を維持することを目的とした治療法です。残念ながら、レーザー治療は視力の改善を目的としたものではありません
抗VEGF薬硝子体注射:
黄斑浮腫も新生血管も、血管内皮増殖因子(VEGF:Vascular Endothelial Growth Factor)が関わっていると言われており、VEGFの働きを抑制すると、黄斑浮腫や新生血管が改善する事がわかっていますので、抗VEG薬の硝子体注射を行い、黄斑浮腫及び新生血管の治療をします。現在国内で使用できる抗VEG薬はルセンティス、ラニビズマブ、バビースモ、アイリーアなどがあります。
副次皮質ホルモン(コルチコステロイド)硝子体注射:
網膜血管透過性を低下させ、血管内皮増殖因子VEGFの発現を阻害することにより、黄斑浮腫を改善します。しかし、眼圧上昇や白内障の進行などなど副作用の発生率は抗VEGF薬ぼ硝子体注射より高いです。
参考資料
日本眼科学会
アメリカ眼科学会(AAO)
What Is Central Retinal Vein Occlusion (CRVO)?
Diagnosis and Management of Central Retinal Vein Occlusion